お前の涙、俺だけに見せて



というか、野澤君が女の子を口説くなんて、よくあることでは?



「確かに花ちゃんに可愛いとは言ったけど、口説いてない!」



よかった。


私はそっと胸をなでおろす。



「つーか、なんでもいいからそこを退け!邪魔なんだよ!」



もう、私には関係ないかな。



教室に行ってもいいかな。


三神君のところに行きたい。



二人はまだ言い合いを続けてるし……


よし、教室に行こう。



「ちょっと待った!」



向きを変えた瞬間、明星さんに呼び止められた。



「はい?」


「いくら可愛いからって、あなたに嵐士は渡さないからね!」



そう言う明星さんのほうが、可愛いです。



って、そうじゃないか。



「あ、大丈夫です。私、野澤君はいりません」


「きっぱり言うなあ、花ちゃん。ま、花ちゃんがほしいのは千秋だもんね」