なんで茶化すの、野澤君……!


一瞬で不機嫌になっちゃったよ、千秋……



せっかく普段見れない、柔らかい笑顔だったのに……


野澤君のバカ。



「おい麗。こいつ連れてけ。今から別行動な」



えっと、私の知識だと、ダブルデートって二組のカップルが一緒にデートすることを言うような……



だから、別行動は麗が許すわけ……



「わかった!」



あれ、許しちゃった。


それも、あっさり、満面の笑みで。


そんなに野澤君と二人になれるのが嬉しいのかな?



麗って、本当に恋する乙女だなあ。



ていうか、私、千秋二人きり!?



「そんなに緊張すんなって。あいつらいたら、花ゆっくり休めねーだろ?」



千秋は、麗が座っていたところに腰を下ろした。



そっか、そんなふうに思って言ってくれたんだね。


千秋ってやっぱり優しいな。



まあ、千秋が優しいのは初めて話したときから、知ってたけどね。


だって、優しくなかったら、私の偽カレなんていう、変な頼みを受け入れてくれるわけないもん。



って、変なこと思い出してきた……