先輩の髪の毛の隙間から見える耳が赤い。
可愛い。


どうしよう。今猛烈に写真撮りたい衝動に駆られているよ。


「先輩……可愛いですね」


思わず心の声が。


「意味わかんないから」


顔を上げて、ムッとした先輩の顔はまだ少し火照っていて。


こんなに顔を赤くされちゃ、調子に乗っちゃうよ。


今までなんでも余裕で、私にあんな風に触れてきても表情一つ変えなかった人が。


「だって、先輩の反応にびっくりしちゃって」


「しょうがないでしょ。2週間ぐらいまともに話してなかったし。自分でもびっくりしてるよ、こんなに美子に会いたかったんだって」


「……っ、」


嬉しいのに、人間嬉し過ぎると思わず声が出なくなるもんだ。


「由良先輩!」


「んっ?」


姿勢を直した彼の名前を呼ぶと、顔が上がって。


「ずーーーっと、大好きです!」


今日一番の笑顔でそういってから、大好きな彼の頬を手で包み込んで、少し強引に唇を重ねた。


「……っ、」


この気持ちを最大限表現する方法に、こんなことしかまだ思いつかなくて。


唇を離して、おでこを合わせたまま至近距離で見つめ合うと、


「下手くそ」


先輩は意地悪な笑みを浮かべてから、今度は少し角度を変えてから、私の知らないキスをした。