「やめてくださいよ!先輩!美子のことこれ以上傷つけないでくださいよ!辛いことわざわざ思い出させないで!」


黙って一部始終を見ていた栞が、空っぽになったアイスカップを強めにローテーブルにおいてそう言った。


「わざわざ蒸し返して傷つけて泣かせて、楽しいですか?先輩そう言うのが趣味ですか?」


「しかも、病人ですよ?」と付け加えた栞。


いつもの倍口調が強くて、栞が私のために怒ってくれるのが嬉しくて、やっぱりこの子が親友で良かったと思う。


でも、2人に喧嘩されてここの空気も険悪になるのは私にとって辛い。


「栞、私は大丈夫だから」


そう栞をなだめる。


「大丈夫じゃないでしょ!美子っていっつもそればっか!傷ついてるくせに平気なふりして大丈夫ってさ!そんな美子の優しいところに由良先輩は漬け込んだんだよ?!あり得ないじゃん」


由良先輩のこと、悪く言わないでほしい。
本当はただただ繊細で優しい人なんだ。