「先輩、甘えるってなんですか?」

「え?なに?」




「ふふっ。なんでもない。」




2人でそんなことを言っていると、バァーーーーンッと花火が打ち上がった。





夜空に光るたくさんの花火。





「・・・・・・綺麗だな。」





「・・・・・・綺麗だね。」





高校生2回目の花火は、隣に鳳駕がいる。





特に話すこともなくただ花火を見ていた。





花火は見ていないとすぐに消えちゃうから。





知らないうちに光って夜空に溶けてしまうから。




忘れないように、しっかり見たいんだ。





私にはない、キラキラした世界が夏にだけ現れる。




10分くらいすると花火が打ち上げられなくなった。




「1回目終わりかな。」





「そうだね。綺麗だった。」





この花火大会は4回に分けられて打ち上がる。





「何回目まで見る?」




「んーーー。全部。」




「マジで?」




「嫌?」





「いや、嫌じゃないけど、沙代がそんなこと言うの珍しいなと思って。いつもなら二回くらい見て帰ってくるのに。」