「先輩、甘えるってなんですか?」

私は大学の教授じゃないし、大学受験なんてしたことないけど、鳳駕の頑張ってきた姿は知ってる。




だから、心配することじゃないと思うの。




頑張って人は強いから。




「もし、最悪の結果でもまだチャンスはあるんでしょ?・・・・・ずっと頑張ってきた人はまた頑張れる人なんだよ。そう、鳳駕が昔私に言ったでしょ?」




鳳駕の顔を見ながら言うと、鳳駕も真っ直ぐ私を見る。




「今日くらい、花火見て、そういうの忘れてよ。」




それだけ言って私は前を見た。




すると、トンっと私の肩に鳳駕の身体が触れる。




そして、下を向きながら、




「ありがとな。沙代。」




それだけ言ってニカッと笑った。





あっ、・・・・・・・いつもの鳳駕だ。




「ん。」




それだけ言うと、鳳駕が腕を上げて背伸びした。




「あぁーーー!なんかスッキリしたわーー!お腹空いてきた。」




「だからさっきなんか買うって聞いたのに。」





「仕方ねーじゃん。沙代お菓子ない?」




私はスカートのポケットに手を入れる。





「ごめん。何もない。・・・・・・これ食べる?」




私は自分のりんご飴を鳳駕に差し出した。