「先輩、甘えるってなんですか?」

「まぁ、いい思い出だよ。・・・・・あっち側に座ろ。」




鳳駕がコンクリートの上に座ると私も隣に座った。




真っ直ぐ川を見ているだけ。




特に話すこともないから私はさっきのりんご飴を食べていた。





こういう沈黙も嫌じゃないのは、鳳駕だから。




チラッと鳳駕を見ると、川を見たまま落ち込んでいるようだった。




「鳳駕?」





ちょっとだけ小さい声で聞く。





「・・・・・・結構心配なんだよな。受験。」





この時やっと気づいた。




鳳駕はずっと受かるかどうか心配だったんだ。




そりゃそうだよね。





今までの努力の成果が結果になるかどうか、それが分かるんだから。




でも、




「鳳駕、大丈夫っては言えないけど、私はそんなに心配しなくていいと思う。」





「え?」





「大丈夫なんて、大丈夫じゃなかった時苦しくなるじゃん。でもさ、私は鳳駕が頑張ってきたのとか、才能とか知ってる。だから、心配しなくてもいいよって、それだけは言える。」