「先輩、甘えるってなんですか?」

「鳳駕。何か食べたいのない?」




「いや、俺は別に。」




「じゃあ、金魚すくいする?」





「沙代したいの?」





「っ、ちーがーうー。」




もう、なんで何もしたくないの?





これじゃあ、なんにもお返しできない。





イライラしてきて私は鳳駕に言った。




「今日はその間のお礼したいなと思ってたのにそれじゃあ困る!」





「え?お礼?」





鳳駕は何のことだ?というような顔だ。




「だからっ、こないだ手当してくれたし、おんぶしてくれたし。・・・・今日くらい何かしてあげてもいいかなって思ったの。」




私がここまでちゃんと話すなんてレアなんだからね?




じーっと鳳駕の顔を見てると、鳳駕はふはっと笑った。





「え?何がおかしいの?」




「いやっ、別に。・・・・・そんなこと思ってくれたなんて嬉しくて。ありがとな。・・・・・・じゃあ、花火を特等席で見たい。」





「特等席?」




「来てっ。」





そう言って私の手を掴んで歩き出した。