「それでね、ダンボール運んでる間にあんなにお父さんのこと嫌いだったのに、行かないって言ってくれるかなって思ったの。何でかわかんないよ?・・・・・でも、前みたいな関係になれるかなって。どこにでもある普通の仲のいい家族に。」




「・・・・・・・うん。」





「・・・・お父さんが車で行く時、夢だった写真家になるのって聞いたらそうだって言われた。今の会社辞めて。でも、・・・・・・お前らには金を入れるから大丈夫だって。」





「え?」





この時初めて鳳駕が聞き返した。




「私が言って欲しかったのは、ごめんのただ一言だった。今まで、我慢させてごめんなとか、一緒に居られなくてごめんなとか。口だけでも、言い訳でもいいから言って欲しかったっ。でもっ!!・・・・・違ったっ。」





私はぎゅっと握っていた布団を拳で叩く。




涙を止めようと、唇を噛んだ。