職員室前の廊下に出た所で、職員室から出てきた見覚えのある1人の男子生徒と目があった。
「こんにちは。」
「…ちわ。」
鹿島翔里(かしま しょうり)
3年の先輩で男子バスケ部のエース。
艶のある真っ黒な髪。一重の大きな目。高い鼻。180cmに達しそうなほど高い背。
こちらもモデルや俳優並みに整った顔立ちでルックスは百点満点。
男女共に『付き合いたい!』という人が多いが、当の本人は全く恋愛経験がないとのこと。
誠は翔里に細やかながらも挨拶をして、職員室の古びたドアを開けた。
「失礼します、2年4組の八木誠です。
竹内先生はいらっしゃいますか?」
「ここだ、急に呼び出してすまん。
さっそくだが…柳原が、昨日の練習で足を捻挫しただろ?
明日の練習試合、スタメンで出そうと思ってたんだが、これじゃ出せない。
そこで、柳原に直接相談して誰を出そうか話し合ってみたんだが…柳原から真っ先にお前の名前が出た。
明日、3年と一緒にベンチに入ってくれないか。」
「…えっと、わかりました。」
「あまり驚かないんだな?」
「いや、驚いてます。りみ先輩が、まさか私の名前を出すとは、思ってなかったので。
それにしても、何で私なんですかね…。」
「柳原は、誰よりもお前が練習を頑張っていたのを見てたそうだ。
…明日、期待してるぞ。」
「はい、頑張ります。」

