****
「翔里、八木さんに告白したんだって?」
「…お前に関係ないだろ、昇李。」
「関係あるよ、親友が一世一代のことしたんだから。」
「親友とか…うざ。」
「はは、照れんなよ。」
''しょうりコンビ''そう呼ばれたことに、お互い悪い気はしなかった。
互いにバスケ部とサッカー部のエースであり、学校外でも遊んだり一緒に勉強したり、高校からの仲とは思えないほど仲が良かった。
「で、返事は?」
「まだだよ。大会終わってからでいいって言ったし。」
「それもう1週間も前だよ?そろそろきてもいいのにね。」
「ほっとけよ、俺別に急かすつもりないし。」
「ふーん…。あ、ごめん、彼女から連絡きたから迎えに行ってくる。じゃあな。」
「…おう。」
この受験で忙しい時期に、彼女を作るなんて馬鹿なんじゃないかと思った。
けれどそれ以上に、自分の気持ちを正直に、素直に伝えたことが羨ましかった。
彼女に告白することを決意したのは、それが背中を押したからなのかもしれない。
「俺も馬鹿だよなぁ…。」
自分を馬鹿にしたつもりだった。
しかし心のどこかで、誠に受け入れられることを望んでいた。
「…帰ろ。」