3年が引退して数日。
新チームでの練習も始まり、ようやく落ち着いた頃だった。

誠はふと、大会前の出来事を思い出した。


「返事…しないといけないのかな。」

「まこちゃん?どうしたの?」

「成海…いや、なんにもない。」

「はは〜ん?さては悩んでるんだなー?
悩み事なら相談してよー!友達でしょ?」


その手があったか、と思いついたように、誠は成海に全てを話した。


「えぇぇぇぇぇ!!!!告白されたの!?」

「ばかっ!声がでかい!!
……よかった誰もいなくて。」

「え、返事は?どうするの??」

「えぇ〜…うーん、断るでしょ…。」

「何言ってんの!?あの鹿島先輩だよ!?」

「いや、だって新チームの練習も始まったし、恋愛と勉強と部活とか全部できないし。まず、別に好きじゃない…。」


''好きじゃない''という言葉が、誠の胸に引っかかった。しかし、他のことは全て事実だ。
全てのことをうまく続けられるとは思えない。
恋愛、勉強、部活。誠の優先順位の中で、ワースト1位は恋愛だった。

しかもついこの間、恋愛より友情だと主張してしまったこともあり、誠は告白を受け入れ難くなっていた。


「鹿島先輩だって、まこちゃんが大変なことくらいわかってるよ!だからこそ寄り添ってあげたいし、寄り添ってほしいの!
好きじゃないなら、付き合ってくうちに好きになるから!ね!今すぐOKしよう!」

「ちょ、ちょっと待って。
……返事はちゃんとするから、考えさせてよ。」

「んもぅ、仕方ないなぁ。じゃ、なるは部活だから行くね!まこちゃんもがんば!」

「あぁうん。バイバイ。」