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「よろしくお願いします!」
相手選手と向き合い、一礼。
部長を含め3年生のレギュラーメンバーが先陣を切りコートの中心へ集まった。
宙へ舞うボールを最初に手にしたのは誠のチームで、すぐさまディフェンスをかわしレイアップシュートで先制点。
「ナイスプレー!!」
「はる先輩ナイッシュー!もう一本ー!」
点を決めすぐに守備態勢へ。
3年生のディフェンスは硬く、誠達も容易に抜くことはできない。
案の定相手チームも苦戦しているようで、ロングパスをカットされ、こちらがまたシュートを決めた。
「りみ先輩かっこいい!最高ー!!」
「ナイッシューです先輩!」
その後も3年生のスタメンは次々と点を決め、第1クオーターの時点で相手との点差は20点。
人数の関係で2階から見ていた1年もかなり驚いたらしく、顔を見合わせては『凄い』の一点張り。
スタメンがベンチで休憩中、監督が声をあげた。
「第2クオーターは3年の柏木、藤澤、中富、2年の八木と橘!!準備して集合!」
「は、はいっ!」
「はい!」
「誠、希美、頑張って!」
誠と希美は名前を呼ばれ、2人の緊張はピークに達した。
練習試合とは比べ物にならない緊張感。2人は公式戦に何度か出たことはあるが、今までとは全く違うものに感じた。
「ねぇ誠。」
「ん?」
「信じてるよ。」
「はは、なにそれ。」
「私決めたの!誠と試合に出るときは、必ず言う。」
「…そっか。じゃあ私も、希美のこと信じてる。」
2人はこの日、観客をも驚かせる連携プレーで次々と点を決め、見事チームを勝利へと導いた。

