「はぁー…今日はやく終わんないかなぁ。」


そう小さく呟いたのは、やはり1年のマネージャーである倉田真澄だった。
彼女は聞こえないと思って言っていたようだが、悲しくも誠の耳に入っていた。

3年生は、談笑したりプレーについて話していたので聞こえていないようだった。

誠は希美に聞こえていないことを願ったが、隣でうつむき拳を握りしめる姿を見てその願いは塵と化した。


「今日遊びに行く予定だったのに、試合とか聞いてないし…。」

「ちょ、真澄ちゃん…。」


それを聞いた他の1年もいい気はしないらしく表情が暗い。
それでも注意しようとしないのは、1年の中では真澄がリーダー格だからだろう。

こちらも注意はしたいが、下手に騒いで3年生の耳にでも入ってしまえば3年生のモチベーションを下げてしまうかもしれない。


希美もそれをわかっていたので叱りはしないようだが確実にストレスにはなっている。



「希美、会場もうすぐだよ。」

「あ、うん…。」

「今日解散したら1、2年で集まって話しよう。」

「そうだね、ありがとう誠。」