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試合当日。
天気は曇りで、蒸し暑くなりそうな朝だった。
今日の試合は本大会への予選であり、対戦相手は近くの公立高校だ。
相手が強くても弱くても、どちらにせよ勝つ気しかない。
「おはよー誠!早いね〜。」
「希美、おはよ。希美だって早いじゃん、まだ20分も前なのに。」
「なんかそわそわしちゃって!まぁ、先輩のためにも頑張ろうね!」
「うん、頑張ろう。」
先輩の最終試合にもなりかねないこの大会は、2年の中でも実力の高い誠と希美も出るかもしれない試合だった。
それ故に緊張して朝早く起きてしまい、2人とも集合の20分も前に着いてしまったのだ。
「おはよー!2人とも早すぎでしょ!」
「先輩より早いって…ははっ!さすがだねほんと!」
「ちょ、先輩〜!いいじゃないですか!」
こんな日がいつまでも続けばいいと思う。
だからこそ、誠にとっては友情は捨てられないものだった。
「今日は遅刻ゼロだね。よーし、出発!」
部長であるりみの声で皆が一斉に会場へと歩き出す。
各々が緊張感を持っていて、誠達の空気は決して柔いものではなかった。

