恋と友情、あなたならどちらを選びますか?





「はぁー…走るのやだなぁ。いっつもスタート前緊張する…。」

「あー、それわかる。」

「ほんとー?外周の時の誠の言うこと何一つ信用できないんですけど!」

「えー…ひどくない?それ。」

「確かに!誠いっつもぶっちぎりだもんね!」

「減速すらしないんだもん、追いつけないよー。」



誠は希美や他の2、3年生に褒められているのかけなされているのか理解できない言葉をかけられながらもストレッチを始め、スタート地点についた。


誠は、自分の隣に並んだ2年のメンバーと、希美の顔をちらりと覗く。
深呼吸をしつつ手足を回し、走ることに覚悟を決めた表情。
2年のマネージャーの1人が、スタートの声をかける。


「それじゃ始めます!よーい、スタ___。」


「えー!今日外周だったんですかー?」



高く明るい声が響いた。
その声の主を部員全員が察したのか、皆振り向く前に怪訝な表情を浮かべた。



「私今日体育館だと思って日焼け止め塗ってないんですけど…。さいあく。」

「あーもう何!今から走ろうと思ってやっと覚悟決めたってのになんなわけ!?」

「ちょ、希美。」

「あんた、男バスのマネになれなかったからって私達に当たるとかなんなの?入ったなら入ったでちゃんと仕事してよ!!」

「希美それは言い過ぎじゃ…。」

「誠は黙ってて!」

「…はい。」


ここまで怒っている希美の姿を見るのは今に限った話ではない。
滅多に怒らない希美は、怒ると歯止めが効かない。いくら誠が希美を落ち着かせようとしても話を聞く耳も持たなくなる。


「もーほんっとありえないんだけど。」

「ごめんなさい…。」

「ほら、倉田さんも謝ってるし…今日は許してあげてよ。ね、希美?」

「りみ先輩…!だって何回言っても…。」

「わかってる。とりあえず、今日は許してあげよう?ほら、すぐ走ってすぐ終わりたいでしょ!」

「…はい、わかりました。」

「よし!じゃあ走ろう!」


希美を止められるのは、誠か部長である柳原しかいないので他の部員は口を出さない。これも部内の静かなルールとなっていた。