部活を終え、誠と希美が2人で渡り廊下を歩いていたときだった。
渡り廊下から正門が見えるのだが、見知った顔の2人が歩いて行くのを目撃してしまった。
と言っても、朝成海から話は聞いていたのであまり驚かなかったのだが。
「誠?どうかした?」
「あぁいや、なにもないよ。」
「そう?あ、あれサッカー部の先輩だよね。まさか2年とできちゃうとはな〜。」
「希美、気になってたの?」
「はぁ〜?んなわけないでしょ!私は、別に、その…いるから…。」
「えっ、いるの?誰?えっちょ、逃げないでよ〜。」
自分で発言しておきながら照れて逃げてしまった希美を追いかけつつ、誠は少し寂しさを感じた。
希美も女の子だったのだと改めて実感したと同時に、希美にも好きな人がいることに取り残された気分だった。
「あ!ごめん誠〜!私あと30分で塾行かなきゃだから先帰る!」
「そうなの?じゃあ私も一緒に…。」
「大丈夫!私自転車だから誠走らないとでしょ?疲れてるだろうからゆっくり帰って!」
「あ、うん。ありがとう。塾頑張ってね。」
「ありがと!また明日ね!」
誠は更に取り残された気分を感じつつ、正門に向かった。