「まこちゃーん!!!」

「うぉお、おはよう成海。」

「ねぇどうしよう!付き合っちゃったよ〜!」

「はいはいよかったね〜。」


新たに始まった1週間。
皆が重い体を引きずって登校する月曜の学校は、なんだか覇気がなく重苦しい。

誠も朝練で早くに家を出て激しいトレーニングを終えた身なのでダルさはピークに達しそうだった。

しかし、憧れの先輩に告白された1人の少女の目は、キラキラと眩しく輝いていた。
5月にも関わらず妙に暑苦しく感じるのは成海のせいなのかもしれない。


「今日ね、一緒に帰るんだよ〜!」

「ほーう、そりゃよかったね。」

「うん!はぁ〜幸せのため息〜。」


『幸せのため息』とは、と一瞬検索しそうになった誠だったが、こういうときは放っておくのが一番いいことを知っている。
少しでもその元気を分けて欲しいものだと思いつつ、誠は席に着いた。


『恋と友情』
誠は昨日の夜、なぜかそれしか考えられなかった。
成海に恋人ができてしまったのもあるのかもしれないが、もし自分に恋人ができたとしたら____。

考えただけで少しゾッとしてしまった。
寝れば治ると思って眠りについたものの、問いに対する答えが見つからないまま午前3時まで起きていたため、今にも眠りにつきそうだった。

誠にとって放課後の部活は1日のゴールのようなものだ。
好きなスポーツを、好きな友達と、好きなだけプレーできること。それが高校生活のほとんどの楽しみだった。

早く授業を終えて、体育館まで思いっきり走りたい。1番にボールを触りたい。そんな気持ちを糧に、誠は今日も眠気に打ち勝った。