「絶対反省してないよあの子。」

「まぁ言いたいことはよーくわかるよ。
遅刻はよくない。」

「だよね!さすが誠わかってる〜。」


誠が共感すると、希美は満足そうに口角を上げた。
そんなところも可愛い、と思いつつ電車内で希美の隣を確保する。
新入部員の1年生は皆遠征用バッグを抱え静かに立っている。電車内での過ごし方はまるでお手本のようだ。

しかし、例外が1名。
先程遅れて来た眞澄が、小声とは言えない音量で他の1年に話しかけていた。
話しかけられた1年生は、若干引きながらも受け答えしているようだった。


「はぁ〜、呆れた。なんなのあいつ〜!」

「あれはよくないねー…。って、ちょ希美?」

「あのさぁ、電車内のマナーもわかんないの?バッグは前に抱えて、静かに立つの。
それぐらいわかるでしょ?」

「ごめんなさーい…。」


こうして希美が眞澄を黙らせたのだが、眞澄はどうも納得がいかないらしく、ブツブツと何かつぶやいていた。


駅に着き、早まる鼓動を抑えながらも、誠たちは対戦校へ向かった。