「鈴音っ……」 ゆっくりと動き出し、今にも飛び立ちそうな飛行機の中に鈴音がいた。 「鈴音!…鈴音!!」 大声で鈴音の名前を読んだせいで注目を集めてしまっていることは、分かっている。 だが、そんなことは気にしてなんていられない。 「鈴音!」 何度呼んでも変わらないことは、なんとなくわかっていた。 それでも呼ばずにはいられなかった。