「鈴音!」 可愛らしく私を呼ぶ声で足を止めた。 「紗奈、どうしたの??」 声の主は、私の親友の香山 紗奈(かやま さな)。 「・・・・・・」 紗奈は無言で私の隣をじっと見る。 私と2人きりで話したい時の合図だ。 「・・・わかったよ。鈴音、先にいってるね」 そう言って私の手を名残惜しそうに離すと、図書館の方へと歩いていった。