私が連夜に言ってないことがまだある。
1ヶ月前、私は連夜の幼馴染の凛さんに会った。
それは放課後、ちょうど連夜と別々に帰る日のことだった。
「初めまして!連夜の彼女さんの鈴音さんですよね?私、連夜の幼馴染の凛です。」
色白で華奢な身体。守ってあげたくなるような女の子だった。
…連夜が好きになるのも無理はない。
「初めまして。…連夜に用ですか?」
「…いえ…」
なんとなく分かってしまった。
勘が良いことが嫌になった瞬間だった。
きっと彼女は…
「連夜が好きなんですよね?」
「!?…」
やっぱり…
「彼女さんなのにこんな話を聞かせてしまって、ごめんなさい…。でも本当に好きなのは連夜だって気づいたんです。」
考えたくはなかったが、お似合いの2人だと思った。
「…凛さん。半年後、連夜をよろしくお願いします。」
「え?」
詳しく説明をしたら、優しい彼女のことだ。きっと連夜に言ってしまうだろう。
「今は何も聞かないでください。」
何も言わない彼女を置いて私はその場を後にした。



