改めて、駆けていく彼女の姿を見送った。



「先輩。彼女っすか?」

「ちっ、違う…!」

「あれ、4組の人っすよね」

「し、知らん…!」



彼女が何組であるか、なんてことも俺は何一つ知ってはいない。

しかし、後輩のこいつは知っていた。

つまりは、こういうことか。



「お前、もしかして…は、萩原さんと同級生か?」

「はい。そうっす」



何ということだ。

これ程近くに、深海魚の君と関連する人物が居たとは、全く知らなかった。

俺はしばらく、呆気にとられていた。



「ちょっと、あんた達。バット、ちゃんと倉庫に戻しといてよ?みんな、もう帰る準備始めてるわよ」



次に現れたのは、幼馴染のマネージャーだった。

その表情は、非常に不機嫌そうである。

よくよく思えば、いつものことか。

そして、マネージャーが俺の方へ徐々に歩み寄ってきた。

そう思った、次の瞬間である。



「私、じれったいの嫌いなの。わかっているでしょう?」

「…は?」