「音楽に熱心なのは、とても良いことだけれど、怪我をしてしまっては危ないわ。もっと気を付けてね」

「はい、気を付けます」



少し元気を失くし、弱々しくなってしまった私に、先生はさらに続けました。



「あと、音楽室の使用の件なのだけどね…部員はどのくらい集まった?」



先生は私の顔色を窺う様に、尋ねてくださいました。

私はそのような先生にこれ以上気を遣っていただかない様、できるだけの笑顔を作ってお応えします。



「残念ながら、未だ0人です」

「…そう」



先生の言葉の数が、徐々に減りだしてゆきます。

そう思ったのも、つかの間でした。



「あのね。非常に言いにくい事なのだけれど、そろそろ正式に用紙で登録してもらわないといけないわ。そのためにも、部員を最低でも3人集めないと…
いつまでも学校に無断で、音楽室を貸し続けるわけにもいかないの」



もうあらゆる人々から同じ台詞を受け、私の耳にはタコができそうな程でした。

私自身でも、わかり切ってはいるのです。

しかし、人が集まらないのが、現状であります。

わかってはおりましたが、あまりの辛さに思わず、胸を塞いでしまいそうになりました。

そして、さらに先生から追い打ちをかけられてしまいました。



「ごめんなさいね。わかって頂戴」



ええ、きっと、きっと大丈夫です。

私は平気です。