新年が明け、そして新学期を迎えました。

始業式も終えましたし、例のアンサンブルコンテストも無事、終えることができました。

私はただ、退屈な日々を過ごしているだけなのです。

何故、そのようなことを言ってしまうのか、と問われましても、私にとって答は一つです。

今、江波くんが学校に、いらっしゃらない時期に突入してしまいました。

高校の3年生になると皆さん、1月から卒業式までお休みとなるため、江波くんともお目にかかれないのです。

それまでの間に、卒業式の予行練習など、稀に登校日もあるようではあるのですが。

それでも、私にとっては退屈でしかありませんでした。

よくよく考えれば、愛しの江波くんにお会いしたのは、三学期が始まる始業式が最後だったのです。

しかし、その最後の日は、私にとってはひどく幸福な時間であったのです。

あの記憶を忘れることは、恐らく出来ないでしょう。

それは本当に、突然の出来事だったのです。






「あの…邪魔でなければ、もしよかったらでいいので、い、一緒に…帰りませんか?」



始業式が終わり、私はリョウさんの入ったケースを肩に下げ、ちょうど正門を越えたあたりでした。

今日は公園にて、アンサンブルコンテストの曲を練習しよう、と思っていたところでした。

そのような時に、背後から名前を誰かに呼ばれ、振り向くと、そこに江波くんがいらっしゃったのです。

そして、その後に、先程の台詞を言われました。

江波くんの頬がこの時、少し紅潮していたのは、きっといつもの照れだけでは、なかったのでしょう。

僅かに、彼の呼吸が乱れていました。