なんだろうと思って画面を開くと、そこには【珠理】の文字とメッセージが表示されていた。

珠理とは、学校で話している分、最低限しか連絡なんか取らなかったのに。あんな日の次の日だからだろうか。

メッセージボックスを開くと、「おはよう、めご」という文字とともに、ハートを飛ばしまくっているクマのスタンプが。

…朝っぱらから、なんて騒がしい人なんだ、このオネェは。


「……。返事はいいか」


このメッセージの裏で、るんるんとはしゃいでいる珠理の姿は、我ながら想像できる。自分でこんなことを言うのも恥ずかしいけど。

でも、これからまた学校で会うわけだし。いいよね。


スカートを折り曲げながら色々と考えを巡らせていると、下からお母さんの声がした。

適当に返事をしながら、ベッドの傍に置いていた桜貝のブレスレットを取って、それを左手につける。

これももう、日課になってしまった。


今日も、薄い桃色のそれは、キラキラと輝いていて。

とっても、とってもきれいだ。




「…っ」


…それにしても。

昨日と今日は、何も変わりはないとはいえ、珠理との関係は、昨日を境に変わってしまったわけで。

だからこそ、こんなメッセージも、送ってきているわけで。



“—— 俺の彼女になって、めご ”



…そう、言われたのを思い出した。
そして、わたしもそれに応えたのを思い出した。


だから、今日からは少しだけ違うんだ。


わたしは、珠理と、“ 彼氏彼女 ” の関係になってしまった。