「ちょっと、めご。あんた何か珠理から聞いてないワケ?」


教室から珠理が出て行ったのを確認すると、茶々ちゃんがコッソリとわたしに言ってきた。

…何かって。珠理にかかってきている電話のこと? そして怪しい行動について?

何か知ってたら、珠理はわたしの前であんな態度とるわけないでしょ。


「…分かんないし聞いてない。でも一緒にいても、いっつもあんな感じなんだよね」

「ええ〜〜?」





…そうなのだ。

あまり時期は覚えていないけれど、珠理の誕生日が終わってから、くらいだろうか。

お弁当を食べていても、一緒に歩いていても、スマホをいじっていても同じ。

着信が来た時は、今みたいに黙ってポケットの中に突っ込んでいる。だからって、着信拒否にすることも、鳴り続ける着信をとることもしていない様子。

それを伝えると、「ますます怪しいわね」と、茶々ちゃんは言った。


仲間の怪しい妙な行動と出来事に、ウーンと4人で考え込む。



……しばらく無言が続いた。けれど、突然近海くんが口を開いて。


「あ!!」


と、その空気を破った。


「び…っくりしたぁ〜。何なのよオーミ!突然大きい声だして!」

茶々ちゃんが近海くんの腕を叩く。それを痛い痛いとさすりながら、近海くんは低く静かな声で、


「そうだ。もう、12月か」


と、言った。