ステージ袖からステージの真ん中へと移動しながら、何とか無事に終わりますように!!!!と最後の祈りを捧げる。


そんな私の祈りが神に届いたかなんて分からないまま、再び静かに幕が開けた。



客席からはラストシーンへの期待の拍手が起こり、向かい合わせに立っている藤井とバチッと目が合った私は、ここぞとばかりに白目を向いて見せた。


【無理、吐きそう】の意を込めて。



そんな私の白目を華麗にスルーした藤井は、見るからにやる気ゼロで、もうとにかくマリオネットのようにセリフを口にした。


「このカボチャの靴がピッタリな女を探している」



言葉と共に高らかにカボチャの靴を持ち上げた藤井に、すかさず意地悪な義姉役の3人が藤井の傍に駆け寄った。


「王子様、どうか私たちにも試させてください!必ずピタリと履いて見せます」


フェルト生地で作られた誰でも完璧履けちゃうこと間違いなしのカボチャの靴へ、義姉3人が順番に足を入れていく。


もちろん、ピッタリ入ってはいけないことになっているので、3人それぞれ入らない演技までして。


「あ……あれ?お姉さま……入らないわ!!」

「そんなわけないじゃない!何が何でも履きなさい!足を鉋で削ってでもいれなさい!!」