愛すべき、藤井。



改めて思い出そうとしてみても、藤井と一緒じゃない放課後なんて、藤井と出会ってから1度もない気がする。


たまに私が委員会の仕事で遅くなりそうな日でも、藤井は当たり前みたいに教室で私を待ってくれてたし。


お互い日直の日は、当たり前みたいに日誌を書き終わるまで残ってたし。


たまに藤井が友達と遊びに行くって日は、校門まで一緒に出てから別れることはあったっけか。


藤井との今までをぼんやり思い出しているうちに、私は無意識の中で、見事に靴まで履き替えて昇降口を出ていた。


そして、


「うわ、まじ?」


校門へと目を向ければ、そこにはもう帰ったかもな〜……なんて思っていた立花くんがしゃがみ込んで壁にもたれながら、スマホをいじる姿を見つけて慌てて駆け寄った。



「立花くん!」


駆け寄る私に気付いた立花くんは、フッとスマホから顔を上げて、


「おつ」


私を見つけて嬉しそうに笑った。


「おつ……って!もう帰ったかと思ってた!1時間も待ってたの?」

「だって迎えに行くって言ったじゃん、俺」

「そ、そうだけど!ごめん……遅くなった」

「いーよ。俺、女に待たされんの嫌いじゃないし」


ヘラッと笑う立花くんはやっぱりチャラいけど、私に気を遣わせないための優しさなんだろうなって思うと、案外いい男なのかもしれない……。