「うん、じゃあまた明日ね!藤井も気を付けて帰りなよ~」
「お前に心配される筋合いはねぇ」
「あっそ~ですか!せいぜい一人っきりの帰り道、泣かないでおくれよ」
「うるせぇな、さっさと行けよ」
「はいはい」
本当はまだどっかで期待してるよ、藤井。
『立花と帰るな』って『行くな』って、言ってくれたらいいのにって。
そしたら『仕方ないな~』って、『困ったやつだよお前は』なんて言いながらも、迷わずに藤井を選ぶのに。
……なのに藤井は、
「じゃーな。夏乃」
「うん、またね」
簡単に私に手を上げて、名残惜しさの欠片も感じさせずにフワッと笑う。
アホたれ。
本当に女心ってもんをわかってないよ藤井。
でも、思わせぶりな態度はもっとむかつくから、結局どれもこれも、私が藤井を思うが故のわがままだってことくらい気づいてる。
うめと藤井に手を振って、藤井と一緒に帰らないっていう事実に私自身が寂しくならないように、私は駆け足で教室を出た。


