愛すべき、藤井。


 
「とーにーかーく!夏乃は今日、家に帰ったら台本しっかり読み込むこと!」
 
 
「いい?」と念押しするうめに渋々深く頷けば、「よろしい」とでも言いたげにうめは少しだけ口角をあげてみせた。
 
あーーー、シンデレラなんてやりたくないよ。
いつも損な役回りばっかりだ。

 
「あー、疲れた。もう解散でいいよな?」
 
 
大きく伸びをしながら、疲れたことを存分にアピールしてくる藤井。


───ハッ!


不意に立花くんが放課後迎えに来るとか言ってたことを思い出して、慌ててカバンの中へ入れっぱなしだったスマホに手を伸ばせば、


そこにはやっぱり立花くんからの不在着信。と、【校門で待ってる】って短いメッセージが1件。
 
 
しかもかれこれ1時間近く前に来てるし。
 
 
「ごめん、うめ!私先に行くね!立花くん待たせちゃってる」
 
「あ、そっか。そう言えばそんなこと言ってたね」
 
 
1時間近く経ってるし、遊び人チャラチャラ立花くんは、さすがにもう帰ったと思うけど、もしまだ待ってたりしたら困るし、急いで行かなきゃだよね。