「……ったく、仕方ねぇな…」
凰成は盛大なため息をついたあと、こちらへどかどかと歩いてきて
もしかしてまたキスされる…?なんて思ったけど
こいつはめちゃくちゃ優しく、私の髪の毛を触り出した。
「動くなよ」
その触り方が今まで味わったことないくらい優しい触り方で
美容院にいるよりもずっとずっと心地よくて
終わらなくていいよ
なんて思ってしまうくらい、優しかった。
「━━ほらよ、こんなもんだろ」
でも、そんな時間はあっという間に終わってしまい、鏡をみれば
「うわぁ…、すごい」
ゆるーくふんわり、後ろでまとまっていた。
これぞまさにゆるふわ。
私がやったら間違いなくボサボサになるやつ。
「終わったらさっさと行くぞ」
「え。あ、うん。
ありがと!」
にしても、凰成がまさか女の子の髪の毛をいじれるとは。
これは相当意外だぞ。
「あ、もしかして凰成がやった?」
凰成の部屋にいけばすぐさま竜司くんが髪の毛に気づき
「へぇ、凰成って厳しいこと言いつつ、希依ちゃんのこと大好きなんじゃーん」
伊織くんが思いっきりからかっていた。
「こいつに任せてたらラチが明かねぇからな
さっさと行くぞ」
「っていうか車は?」
「人数いるなら2台はいるよな」
「では私が手配します」
……またこの金持ちどもは…
「近いんだから歩けばいいの!!」
どうしてこうも常識とかけ離れた思考になったんだか…


