「あ、先生来た。早いな~」
竜司くんのその声に廊下の外に目を向ければ吹き抜けの向こう側に、歩く先生らしき人がいた。
それはそれは見た目が若くて
「え、あんな人が先生?」
「ん?そうだよ」
先生には見えないくらい、スラッとしたかっこいい先生だった。
「神楽クラスの担任で、専攻は数学だよ。」
「…ってことは今から数学?」
「そうだよー」
…まじか。あの超ハイレベルな宿題を出したのはあの先生なのか。
かっこいいくせにハードだ。
「おはよう」
名前も知らないイケメン先生は優しい笑顔で入ってきてすぐに教壇にたつ。
普通科ならここで『学級委員~』『起立』みたいな流れがあるけど…
「今日はここからだな」
どうやらここでは挨拶というものはなく、すぐに授業開始スタイル。
タブレットで数学アプリを開けば今日やることがもうすでに表示されてて、いちいち『教科書何ページの…』なんてやりとりは皆無。
なんともスムーズだ。
しかも、だよ。
「まずこれ」
先生が持ってるタブレットがこのタブレットに連動していて
ホワイトボードに先生が書いたことを私たちが書き移すことはない。
こっちがなんの操作をしなくてもタブレットが勝手に動いてて、なんか…
……これで本当に覚えられんの?
マジで言ってんの?
自分で書かないの?見てるだけなの?これだけなの?
これだけで、みんなちゃんとできるわけ?
「━━と、いうわけだ
じゃあ今からこの問題をやってみろ。
終わったやつから授業は終わり。」
……へ!?え、嘘でしょ?
やるの!?いきなり!?これを!?
お、落ち着け……さっきやったんだから大丈夫だろ…
さっきやった通りにやれば……
「おい、まだかよ。
次移動だけど」
「ちょっと待ってよ!」
…って、凰成はもう終わってるってこと?
え、伊織くんと頼くんももう立ってる…
「時間あるしゆっくりで大丈夫だよ」
え!?竜司くんも終わったの?
……っていうか、もう私だけ…?


