「…も、朝から心臓壊れるわ…」


別に男の上半身なんて興味もないし、そんなことで恥ずかしがるような女でもないんだけどさ…

……なんか、あいつの顔と体が他では比べ物にならないくらい…だったから

私なんかが見てはいけないような気がした。


あれが速水なら全然大丈夫なんだけどね。
って、それじゃ速水に失礼かもだけど。



あ、そうだ。

えっと、マスクがここらへんにー…、あったあった。



「おい、支度できたけど
……なに、風邪でもひいてんの?」


「自己防衛能力が低いことに気づいたから、それなりの装備をしようと思いまして」


「……あそ
それより飯行く」


「あぁ、うん
えと…なにか持ってくものあるの?」


「別に。そのあとここに戻ってくるから手ぶら。」


「へぇ、戻ってくるんだ。」


あ、だから7時からご飯なのか。
私はいつもご飯のあとそのまま教室向かってたけど…

確かに、部屋戻って歯磨きとかしてた子いたな……


もしかしてこれが普通なのか…?


「鍵だけは忘れんなよ」


「あ、はい」


普通科で使っていたIDケースの中のIDカードを理数科・神楽の物に差し替え。
これが寮の鍵にもなって出席認証にも使うわけでしょ?
なんて便利なんだ。

どうして普通科、というか一般生徒には普通の鍵だったんだ……


「なにその首の」


「え、IDケースだけど。
普通科ではこれ必須でこれがないと出席させてもらえなかったけど
…神楽ではないの?」


「少なくとも首から下げてるやつはいない」


ま、まじか……
じゃあ目立つかなぁ…

……服の中しまっとこ。鍵っ子みたいだけど



「腹減った
さっさと行くぞ」


「はーい」