私と結婚してください。



ワンピースに着替え、荷物をバッグに詰める。
といっても本当に少しだけ。

お財布はいらない。スマホもいらない。
必要なのはハンカチとティッシュ、万が一のためのメモとボールペン。
あとはリップくらいだ。


準備が完了したら今度はいつもの美容院で少しメイクをされ、そして少しカットもされ、最後にセット。

お母さんに会うということでさっぱり感をメインに。


そして支度が全部終わったころには17時半を過ぎていた。


「おう、ちょうどいいな」

「だ、大丈夫かな…」

「いつもの希依より100倍まし」

「ちょっと、どういう意味」


なんかでも、こういうやりとり
緊張がほぐれるなぁ…

そういうところがやっぱり好きだ。
最近はなかったこの私を貶す感じがちょっと懐かしくて
今このタイミングでそれを出してくれる凰成が好きだ。


「ね、凰成のお母さんてどういう人?」

「あー、別に普通?
…しいて言うなら、希依んとこよりは面白みにかけるかも」

「いやそれうちのお母さんが面白いってことですか」

「あ、いや」


ったく…まぁたしかにちょっと落ち着きないけど…
わちゃわちゃしてるし…


「ただ両親は神楽でくっついてるから。
神楽への理解はあるし、姫に対しての理解もあるし、母さんてもともと裕福な家庭じゃなかったから
金持ちんとこの女じゃなきゃだめみたいな制限はない」

「あ、本当?
ならよかったー…」

「希依んちは会社経営もしてるし、なんならうちと組んでるみたいだし?
親父はなんなら大歓迎って感じ」

「本当!?それすっごい嬉しい!」

「てかじゃなきゃ家に呼ばないだろ」

「あ、そっか」


そっかぁ…
歓迎してくれてるのかぁ…

それならよかったよ、本当に。
これで歓迎されなかったらまじできついもんな