私と結婚してください。




そしてその日の放課後、私はクローゼットの中でうなっていた。


「希依、まだ服決まんねぇの?」

「なんか、どれがよく見えるかわからなくて!!」

「そんなん別になんだっていいと思うけど」

「それでも少しでも品よく見られたいんだもんー」


あの豪邸に似合う女性になりたいよ、まったく…
野生感ない、エレガントな感じに…


「なら、これは?」


そういって手に取ったのは金城さんちと会食のときに凰成が買ってくれたオレンジのワンピースだった。


「えーでもこれで一回お父さんと会っちゃってるもん…」

「男はそんなこと気にしない。
似合ってるならそれでいい。
母さんは別にみてないんだからいいじゃん」

「…まぁそうだけど」

「早くしないと時間なくなるぞ?」

「え、でも夕食18時でしょ?」


あと2時間くらいあるけど…
なんてのんきなことを言っていたら


「希依、髪の毛はどうすんだよ」

「えっ、あぁ!そうか!!」


美容院、連れてってくれるんだ…
そういえば前もそこで髪の毛に加えて軽く化粧もしてくれたっけ…


「よし、これに着替える!!」

「おう、急げよ」

「うん!