そんな話をしながら私たちの部屋がある階まで階段を上ると、凰成が部屋の前に立っていた。


「え、凰成?」


私が呼ぶと、凰成の顔はこちらを向いたけど
どうみても、その表情は怒っていて…


「……また頼かよ。
頼とどこ行ってた」

「え、ちょっと散歩に…」


そう言いながら近づくと、凰成は小さく舌打ちをして、私の手首を掴んで部屋のドアを開けた。


「吉良さん!」


だけど部屋に入る前に、頼くんが凰成を止めた。



「私がお誘いしました。
どうか希依さんを責めないでください」


頼くんがそういうと凰成は頼くんに顔を向けたけど、すぐに部屋に入ってドアを閉めた。

責めないでください、か。
まぁ凰成の顔怖かったもんな。怒ってるなんて、用意に想像できるもんね…


「あ、の…
…無断で出てってごめんなさい」


部屋に入ってすぐ私のことを離した凰成の背中にそうぶつけたけど
返ってくる言葉も、振り向くことすらなくて

……どうしていいか、わからなくなっちゃって


いっそのこと、責められた方が楽なのかもな…


「…紅茶、淹れるね」


どうしたらいいのかわからなくて
私はいつもどおり、ケトルに水を入れてセットし、ティーポットの準備をした。

こうしてた方が、気が紛れるから。


昨日も気まずいまま眠っちゃったから…
それなのに無断で出てったのはさすがにダメだったよな…


「なぁ、希依」

「え?」