「き、吉良グループの……
でもこちらも今大事な縁談話を進めているところなので、仕事の話だったらまた後日にしてもらえませんか?」
さすがの大企業相手だからか、兼城さんも見たことないくらい控えめな態度だったけど
それでも後日にしろなんて、それを言える兼城さんも相変わらずというか、なんというか……
しかも縁談話なんて進まなくていいよ。ってか進めるなよ…
「いえ、そちらについても…」
凰成のお父さんがそう言うその時、後ろにもう一人の影が見えて
「お、凰成!?」
思わず、話を遮ってしまった。
「な、なんでここに…」
「……そりゃ、
自分の彼女が、他の男と婚約させないためにに決まってんだろ」
「えっ…」
もしかして、それだけのために
お父さん連れて、ここに…?
じゃあ、この服ももしかして本当は
お父さんに会わせる予定だった、から…?
「か、彼女!?」
……一瞬、時が止まってた…
お父さんの声でハッとしたわ…ビックリした……
「希依、凰成くんと付き合ってるの?」
アワアワしたお父さんの隣に座るお母さんが、すごく平然とした顔でそんなことを聞いてくる。
……ま、付き合ったのも今日だったし、私が好きだとも伝えてなかったからそりゃ驚くよな…
「……うん。」
詳しくはまた今度話すね。
ゆっくり時間つくって、ちゃんと説明するね。
そんな気持ちがお母さんに届いたのか
お母さんは優しく私に微笑んで、凰成にも目を向けて
また、正面を向いた。


