そこに立っていたのは、40代半ばくらいの一人の男性だった。
そしてその横にはさきほど私たちを案内してくれた中居さん。
……いったいどちら様…?
「アポもとらず会食の邪魔をしてしまい、ご無礼をお許しください。
以前より、高梨社長とは一緒に仕事をしたいと考えていたのですが
倅がどうもタイミングを許してくれず…
こんなタイミングになってしまい、申し訳ありません」
せ、せがれ…?
ちょっと待ってあなたはいったい誰なのよ…
急に現れてなに?どうしたの…?
お父さんはなにをそんなに固まってるの…?
「また、大事なお嬢様をお借りしている立場なのに挨拶が遅れまして大変申し訳ありません」
「……え?」
私を、借りてる?
なにそれ、え?どういう…
「私、吉良凰礼と申します」
「え、吉良…ってことは、もしかして…!」
「希依さん、初めまして。
いつも倅がお世話になっています」
この人が、凰成のお父さん…?
「き、吉良って…
もしかしてあの吉良グループの…」
ずっと固まっていた兼城さんも、さすがに名前を聞いて驚いていた。
「吉良グループ・リゾート開発
代表取締役の吉良凰礼と申します。
この度は会食中にもかかわらずご無礼をお許しください。
ですが、今でないと高梨社長は大きな仕事を決めてしまわれるかと思い、無礼と承知の上、お邪魔させていただきました」
これが、凰成のお父さん…
なんか話に聞いてた人とずいぶん違う気がするのは私だけ…?
凰成のこと放置してるみたいに聞いてたからひどい人なのかと思ってたけど
なんかめっちゃ優しそうなんですけど……


