私と結婚してください。




お父さんの運転する車に乗って20分。
その間お母さんとはいろんな話をした。

神楽の豪華な内装のことだったり、伊織くんや頼くんのことだったり、めぐも神楽に入ったんだよーってことだったり。


「へぇ、伊織くんって子は婚約者がいるの?」

「そうだよー。玲子さんっていって、同い年には見えないくらいすっごい綺麗な子だよ!
週末、みんなで玲子さんちに行くんだー」


なんか、高校生になって全寮制になったから、こうやってゆっくり話す時間があんまりなかったな。
長期休みはいつも帰ってたけど、結局椎依とずっと遊んでたり、めぐと出掛けちゃったりしてたし…
椎依も彼氏のことで忙しかったしな…


「まぁみんなめちゃくちゃ世間知らずだけど、それもまた楽しいっていうか、新鮮だし私もいろんなこと知れていい経験になってるよ、毎日」

「そう、それならよかった。
希依になんの相談もなしに神楽に入れることに賛成しちゃったから…ちょっと心配してたの」

「いやまぁ最初は…
なんで許可したんだってちょっと思ってたけど、今となってはよかったよ」


本当、毎日が楽しいもんな。
竜司くんのことは最初よくわかんなくて結構悩んだりもしたけど…
今は本当にめぐとうまくいけばいいなって、それしか思わないもんな。


そういえばあの二人、あのあとどうなったんだろ…
学校戻ったら聞いてみよっと。


「さ、着いた」


う、わ…もうついたのか…


「降りるわよ」

「…はぁい」



着いたのは本当に門構えからして立派な料亭。
庭に植えられた松や竹をくぐると、お店のドアが出てきた。