……ま、いいや。
それよりも…


「凰成!めっちゃうまいよ!!」


たかだか390円の牛丼に感動してがっつく神崎竜司…
こいつもとんでもなく世間知らずのお坊っちゃまだ。


「竜司は庶民の食べ物に今ハマってて、今はラーメンがお気に入りなんだよ。」


「どこの?」


「そこのホテルの一回に四川料理のお店があって」


「……なにラーメン?」


「フカヒレラーメン。」


・・・どこが庶民の食べ物なんだよ、おい。
だいたい四川料理のラーメンなら普通は担々麺とかだろ…辛いやつじゃないのかよ…


「他にも回ってるお寿司もいきたいんだよね!
希依ちゃんとなら行けそうだよ~!」


……っていうか、それが目的で私を説得したのか?
回転寿司なんてそこらへんにあるだろ……


「希依。」


……え?


「竜司はけっこう振り回してくるけど俺もよく知らねぇし、付き合ってやって。」


こいつ、名前覚えて…
……初めて呼ばれた。

しかも…やっぱ、友達には優しいやつなのか?
私にはめっちゃきついのに。


……なんか、優しくされると調子狂う。