「……アイスが溶けてしまいますね。
伊織様たちがお待ちです。行きましょう」
いつの間にか止まってしまった足を、頼くんが動かす。
それにつられ、私も頼くんの横へと戻った。
「頼くん。私これからの1ヶ月間、竜司くんの姫を全力で頑張るよ。
1ヶ月間全力で頑張って、凰成のところに戻る。
……だから、嫌いにならないで?」
私がそういうと、頼くんの足はまた止まった。
そして私の顔を見て
「…嫌いになるなんて、一言も言っていませんよ?」
そう、優しい笑顔を向けた。
「私はこれからもずっと、希依さんのお友だちですよ」
そんなことを言って、私にまた優しい優しい笑顔を提供する。
…もう本当、この人にはどこまでも敵わないな
「行きましょう」
「うん!」
もう、ね…私は本当に本当にこの人なしじゃもうだめで…
「私、4人の中じゃ頼くんが一番好きだっ」
本当に、この人が大好きだ。
もちろん、友達としてだけどね。
「なっ…!」
ふと、横から頼くんの声が聞こえる。
その声は、今まで聞いたことのない焦りや照れが混じっていた、大きな声で
思わず、頼くんの顔を覗き込んだ。
「あ、照れてる!!」
「み、見ないでください。
行きますよ」
そういう頼くんはそっぽ向いてしまったけど、それでも声はまだ焦り交じりで、こちらから見える頼くんの耳はまだまだ赤くて
そんな、見たこともない表情を私に見せてくれたことが嬉しくて嬉しくて
「お待たせ~!」
にやけ止まらず、竜司くんにアイスを渡した。
「え、あ、ありがと。
……なんか機嫌いいね?」
「ふふ」
私は笑うだけ。
だけどまた横から違う声が聞こえる。
「え、頼風邪!?
顔超赤いけど!大丈夫か!?」
「だ、大丈夫です
なんでもありませんから」
そういって、伊織くんにアイスを渡す頼くんを見て、私の顔がまた綻ぶ。
「私に好きって言われて照れてるんだよ~」
「はぁ!?」
「き、希依さん…!」
「ちょっと希依ちゃん!
頼は俺んのだから!俺に許可なく変なこと言わないでよね!」
「伊織くんはそんなこと言いつつ、玲子さんと結婚するくせに~」
「それとこれとは話が別!!」
そういって超本気で怒ってくる伊織くんを見て、素直に
「……頼くんは幸せ者だなぁ」
そう、思った。
こんな必死に、姫のことを守ってくれる主人で。
凰成も、こんな風に私を守ってくれてたら
こんな結果には、ならなかったのにね…


