「あ、笑ってる」


「希依がガキ過ぎて呆れてんだよ」


でも、俺の顔を見てにこやかな表情をする希依の顔を見てると、俺の顔も心もどんどん力が抜けていく。


「ごめんね、凰成。
さっきイライラしてたのって、私が原因なんでしょ?」


「別にそんなんじゃねぇって言ってんだろ?」


「あのねぇ、毎日凰成のこと見てるんだからイライラしてるのなんてすぐにわかります。

……凰成は誰かに八つ当たりするような人じゃないもん。
だから、私にイライラしてたんでしょ?
理由を言いたくないならいいけどさ、理由がわかったら私も直していくから、言えるときは言ってね」


希依はそういって、部屋の窓を開けにいったけど
……こいつ、いつからそんないい女になったんだ?

前はただただぶつかり合ってただけなのに……


「……希依」


「ん?」


お前がそんな成長してたら、俺も立ち止まってるわけにはいかねぇじゃねぇか


「……もう、一人で別の部屋に入んなよ」


「え?伊織くんの部屋ってこと?」


「そう。
一応お前は女で、頼もあんなんだけど男なんだから、少しは危機感持てっつーの」


「……はは、それを凰成が言うのか」


「勉強も、わかんねぇなら俺に聞けよ。
なんでわざわざ頼んとこ行くんだよ」


「だって凰成、楽しそうに話してたから」


……楽しそうに、って
そんなの…


「……お前の友達なんだから、お前も入ってくればいいだろ」


お前の友達じゃなきゃ、俺は仲良くしねぇよ
希依の友達だからだろ…


「入ってよかったの?」


「当たり前だろ。
つーか、あいつは希依の友達で、俺は希依の主人なんだから、ダメなわけねぇだろが」


「…なんだ、そっか」


希依は下を見ながら、ふふっと笑った。

……ほんと、こいついつからこんなに女らしくなったんだか…