「人はなににおいても自分自身を1番にするものです。
そして他人のものがよく見えるもの。

希依さんが感じる嫉妬心は西島さんと同じもののように私は感じます。
なので西島さんに敵対心を燃やすことはせず、ライバル心を持つことが今の希依さんには1番の近道だと思いますよ」


ライバル心、か……
…そうだよね。敵対視しちゃったら、私たちは友達じゃなくなっちゃうもんね…


「一歩下がって周りを見渡せば、きっと希依さんも仲間に入れますよ。
客観的に見れば、希依さんにもきっと吉良さんの姫は自分なんだ、って自信が持てるはずです」


客観的、か。
……そう言われると、確かに私の視野は狭まっていた気がする。
めぐに対して嫉妬して…心狭かったかな……


「ですが、それをやろうとしてもなかなか難しい面もあります。
なので、もしまた不安になったり自分の中のイヤな部分が出てきたいつでも仰ってください。
本音を吐き出すと落ち着けることも多いので」


「……うん、ありがと。」


なんか、すごいなぁ…
考え方が大人。そして周りをよく見てらっしゃる。

こんな姫がいて、伊織くんは幸せ者だなぁ…


「…そういえば、頼くんには婚約者っていないの?」


「はい、いませんよ」


「どうして?」


「どうして、と言われましても……
恋をするお相手がいないからでしょうか…」


「頼くんなら絶対みんな好きになると思うのに~」


私がそういうと、頼くんはクスクスと笑った。

……クスクスと笑うんだな、この人。初めて見た顔だ。


「希依さん、そうならば
希依さんも私のことを好きでなければおかしいですよ」


そんな笑った顔で、そんなことをいう。


「…ほんとだよね。
なんで私凰成なんだろ。頼くんのが絶対良いのに」


なんて真剣に答えたら、またクスクスと笑われた。
・・・笑われたぜ。なんか嬉しくないな。