「吉良さんが手配されたんですよ。
希依さんの足では、食堂で食事も大変ですが、ここの食事を部屋でとるにも私たち姫では大変な作業となるため、わざわざシェフを呼びつけたのです。」
「え、私のため……?」
私なんかのために、ここまでしてくれたの?
みんなだって、……凰成だって、絶対お腹空いてるはずなのに
ずっと、我慢してくれてたの…?
「ったく、わざわざ家まで帰って連れてきたんだからな」
凰成はそういって私にナフキンを手渡し、自分も食事を始めた。
「あ、りがと…」
さっき、きつい物言いをしたのに、こんなどうしようもない私なんかの、こんな姫のために凰成が動いてくれたことに動揺を隠しきれてないけど
「さっさと食えよ。すぐメインが来るぞ?」
こんな私なんかに、優しくそういって
こんな私なんかに、優しく微笑んで
バカで優しくもなくて全く使えない姫の私に、こんなによくしてくれる凰成になんだか涙が出そうだよ…
……またひとつ、新しい凰成が知れた気がして、嬉しくて嬉しくて笑顔では足りなくて
涙が溢れてきそうだよ。


