私と結婚してください。




笑顔で私に駆け寄ってくる竜司くん。
それとは対照的に、鋭い目をする凰成の目線の先には当然、速水。


「別に。怪我人を放っとくことが俺にはできねぇから連れてきただけだろ」


「ここはお前が入っていい場所じゃねぇ」


「は?」


……は?


「さっさと「どうしてそんなことが言えるの?」


私をここまで連れてきてくれたのは速水なのに、どうして速水に噛みつくの?
どうして凰成はそんなに怒ってるの?

神楽はそんなに敷居が高いところなの?


……理解できないよ。


「一人だと大変だから連れてきてくれたんだよ?
許可も取ってるんだよ?

私のサポートとして来てくれただけじゃん。
そんなこと言えることなの?」


「姫の分際で口出ししてんな」


「そんなこと言うくらいなら最初から自分がやればよかったんじゃん。
凰成が押してくれてたら速水だってここまでくることなかったんだよ。わざわざ来てくれた人にそんなこというなんて失礼すぎるでしょ。」


「自分で動かせんだろ」


「いきなりここまで一人で来いっていうの?
座ったままドアを開けろっていうの?

それが大変だから速水がわざわざ押してくれたんじゃん。
どうしてそんなこともわかんないの?」


「高梨いいよ。俺別に気にしてねぇし。

じゃあ俺行くわ。
またな。早く足治せよ。」


最後の段差も速水が車椅子を乗せてくれて、速水はそういって帰っていったから


「ごめんね!ありがと!」


ドアがしまる前にそう叫んで、本当はもっとお礼を言いたかったけど時間がそれを許してはくれず、ドアは閉まってしまった。