さーて、部屋に戻ろっと
……って、えぇ!?い、いない!?
置いてかれた!?…ってこと、だよね…
……いくらなんでも、ひどくない…?
私、怪我してるんだよ?車椅子なんだよ?
慣れないのに自分で動かすのかよ……
「さて、行くか」
「え、速水!?」
「お前だけだと大変だろ。あいつら行っちゃったし。
これも介護。理由があんだから入ったっていいだろ。」
「で、でも…」
「怪我人は気なんかつかってんなよ。
それに、俺って怒られなれてるし?なーんて」
速水……
…あんた、こんな優しいやつだったのか…
中1の頃から一緒にいるけど知らなかったよ。
今さら気づいてごめんね。
知る気すらなかったよ。うん。
「…ありがと」
「ん。」
自分で車椅子を動かすことが私にはやっぱり難易度が高くて、私は素直に速水に甘えることにした。
こんな風に速水に優しくされるのはなんか慣れないけど…でも、凰成の時と違って
穏やかで、心地いいや。
「ところで椎依は?」
「椎依ちゃんは彼氏がお迎えに」
「うわ、まじか
速水が残念すぎる」
「彼氏できたことないやつに言われなくないわ!!」


