━━それからも、凰成は私の乗る車椅子をゆっくり押してくれたり、本当に優しくて
調子が狂いまくりだ。
到着した車なんて車椅子のまま乗り込める車。こんな車を手配してくれた時点で出会った頃とは違うし…
っていうか、凰成が私を病院へ連れてく時点で前と違うし…
……私、毎日とくになにもしてない、というか足を引っ張りまくってる私だけだけど、一応凰成のためになってんのかな。
世界は自分を中心に回ってると勘違いしていた世間知らずお坊っちゃまをここまで立派にしたのは私なのかな。
うーん…
「希依、ついた」
凰成の声に外を眺めれば
「でっか」
とんでもなく大きな病院に、車が入っていく。
そこらへんの総合病院よりも明らかに大きくて、庭も綺麗で……
「…私立?」
こういう病院へ来たことがない私は今からなんか…恐れ多いわ……
「伊織んちの病院」
「へぇぇー……ぇええぇぇぇ!?
え!伊織くんち!?こんなでかいの!?」
「そう
伊織から連絡いってるし、すぐに診てもらえるしな」
凰成がそう言う頃には救急車でもないのに救急口に車がつき、そこにはすでに医師も看護士もいる。
なんなんだよ。こういうの初めてだよ。
「降りるぞ」
運転手さんが凰成のとこのドアを開ける頃、私は看護師によってドアを開けられ、おろされる。
もちろん、車椅子のままね。
「話は学校からすでに伺っています。
すぐに検査いたします。」
そう言われ、私は検査に向かうわけだけど
「あぁ、頼むな」
……凰成はまさかの応接室案内。
なんなんだよ。そこらへんのベンチで待ってろよ。
ソファ以外の椅子にも座りやがれ。


