「ふっ…あははは!
ここ、ナンパスポットだけど、そんな風に逆ナンしてる人初めて見た~!」


私の目の前で私に鋭い目線を向ける……Aくんと、私の発言に大爆笑するBくん。

……私、なんでこんな人たちに声をかけてしまったんだ?


「あ、キミどっかで見たことあると思ったけど
秀学普通科の高梨椎依ちゃんでしょ?」


……へ?


「あー、ヒロキが前付き合ってた?
そういやこんなやつだったかも。」


「そうそう!すぐ乗り換えたって噂の。
でも、噂通りみたいだね?こんなとこでナンパなんて。」


……噂?なにそれ。
そんなの知らないし、興味もない。

……でも、でも…


「俺らがお前みたいな軽い女に引っ掛かるとでも思ってんのかよ。」


噂ごときで勝手に椎依のことを"軽い女"と決めつけるこいつらが、腹立たしくて仕方なくて



「なにも知らないくせに椎依のことを悪く言わないで!!」



いつの間にか、私はこのイケメンA、Bに怒鳴っていた。



「…え、キミ高梨椎依ちゃんじゃないの?」


「女の子の見分けもつかないような男子なんて、こっちから願い下げ。
噂ごときに振り回される男子なんて、もっとお断り!」


もうむしゃくしゃして、さっさと立ち去ろうとしたけど


「ちょっと待てよ。」


イケメンAが、それを許さなかった。


「ちょ、なに!?
離してよ!」


「なに?じゃねーよ。
勝手に変なプロポーズしといて、勝手にキレてんじゃねーよ。」


「そっちが椎依を侮辱するようなこと言うからでしょ!?」


「へぇ、お前はその高梨椎依とかいうやつがすげぇ大事なんだな。
でも俺らにはお前は高梨椎依にしか見えねぇ。
だから、明日高梨椎依に逆ナンされてプロポーズされたって言いふらしてやるよ。」


「はぁ!?」


「嫌なら、せめてテメェが名乗ってけよ。
そしたらテメェの名前で噂広めてやるよ。」


な、なんなのこいつ…
イケメン、なのは認めてやるけど…なんで男ってのはこうも上から目線なの!?


「…希依?」


「めぐ!
……離して!

私の名前は高梨希依。これで満足でしょ?
噂、流したきゃ勝手に流せば?」


私はそういってずっと鋭い目線のAと、ずっと笑ってるBをもう一度睨んで
めぐの手を掴んで走って公園を出た。