「俺は……」


何気に、こんな真剣に飯田に恋話をするなんて初めてのことで、自分で聞いといてちょっとドキドキする。


普段は口が悪くて、まぁ、私にだけなんだけど。
そんな彼にも、恋心なんてもんがあるのだろうか。



「俺は、もし来原と同じ状況になったら諦める」


「えぇーそんなぁ〜」


「振り向いて欲しいって必死になっても、結果がついてこなかったら絶対後で虚しくなるに決まってる」


「……」


そんな寂しいこと言わなくたって。
私は、半年片想いしても虚しいなんて思わないよ。


「嘘だ。飯田はこういう気持ちなったことないから、そういうこと……」


「あるよ」


え?
静かに呟いた彼の声は、店内のBGMにかき消されそうなくらい、か細かったけど、それでもちゃんと拾えた。